【移住story9】 「この製品を作りたい」一途な思いで旭川へ
- 齊藤 美幸さん(53)
- 木工職人(株式会社モッコウ)
- 移住元:東京都
- 移住時期:平成18年12月末
- 家族構成:単身
東京での賑やかな共同生活。大学卒業後、声優や役者など、多様な夢を追う仲間たちと暮らす中で、ご自身もまた、心に秘めた思いを抱いていたと語るのは齊藤 美幸さん。
高校時代に芽生えたものづくりへの情熱、とりわけ「木」への愛着は、美術大学で立体デザイン(金属やガラス工芸)を学んだ後も消えることはありませんでした。
大学卒業後、夢を現実にするため、飛騨高山で約1年間、木工の基礎や手工具の扱い、森の環境について学びます。その後就職先を探す際重視したのは、住む場所ではなく「自分が心から作りたいと思える製品を手がけている会社かどうか」でした。


全国、さらには海外まで選択肢を広げて探す中、強く惹かれたのが、旭川市にある木工会社(前職)が作る木の温もりあふれる小物たち。2006年12月末、「この製品を作りたい」という思いだけを胸に、縁もゆかりもない旭川へと移住を果たします。
移住直後は「地面の雪というより氷のよう」「雪かきはスコップではなく、ほうきで掃けるほどの軽い雪質」と、本州との違いに驚いたといいます。見知らぬ雪国の厳しい冬を肌で感じながらも、その新鮮な環境は職人としての新たなスタートにふさわしいものでした。
現在は、齊藤さんは『株式会社モッコウ』で、特注品や自社オリジナル製品の製作に励んでいます。製品作りだけでなく、冬の除雪やボイラー管理まで、スタッフ全員で手分けをして工場を回す日々。
「好きな仕事だから、作ること自体は苦になりません。ただ、長く続ければそれだけ責任も大きくなります」経験を重ねるほどに増す責任は、職人の仕事に向き合っているからこそ感じる重みでもあります。


これから木工を目指す人に向けて、齊藤さんはアドバイスを送ります。
「木工は頭で考えるだけでなく、実際に手を動かす中で培われる感覚も大切、体で覚える世界です。憧れだけで判断せず、まずは体験教室などで実際に木に触れてみてほしいです。興味が尽きないのであれば、工場も体験して、現場の空気を肌で感じてみると良いと思います」
旭川での暮らしもが長くなった今も、探求心は尽きません。「繰り返しの作業の中でも常に新しい挑戦をしたい。将来的には金属やガラスなど異素材を組み合わせた作品にも取り組んでみたい」と話します。
理想のものづくりを求めてたどり着いた旭川で、現状に満足せず進化を続ける齊藤さん。その手から次にどんな作品が生み出されるのか、今後の挑戦から目が離せません。
